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Web電子カルテシステムにより、医療の質、患者様サービスを向上。患者様への医療情報開示や地域診療所との連携を推進
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独立行政法人国立病院機構 神戸医療センター独立行政法人国立病院機構 神戸医療センター

独立行政法人国立病院機構 神戸医療センター(以下、神戸医療センター)では、多くの患者様に関する紙のカルテやX線写真など、膨大な資料の管理に要する負担を軽減し、病院内での情報共有を促進するため、2004年からカルテの電子化プロジェクトをスタート。株式会社アピウスのWeb電子カルテシステム「APIUS Ecru」を用い、オーダーの電子化、カルテの電子化を順次実施しました。病院内に張り巡らせた有線/無線のネットワークを通じて、各所に配置された端末から必要な情報を必要な形で取り出せる仕組みを作り、記載ミスや読み間違いなどを減らし、検索性が高まったことで作業の効率も向上しました。

 ■お客様ニーズ
カルテやX線写真などの膨大な医療情報を効率的に管理したい
左右田 裕生氏
独立行政法人国立病院機構 神戸医療センター
産科医長
医療情報管理室長
左右田 裕生氏
神戸市西部にある神戸医療センターは、国立病院として高度な政策医療を行うと同時に、地域の病診連携や輪番制への参加などを通じて、地域一帯の医療に多大な貢献をしています。

医療機関ではカルテやX線写真など、患者様に関する膨大な情報を管理する必要があります。しかし、医療技術の高度化に伴ってカルテに記載する内容や写真などの量は増え続け、紙やフィルムの状態では資料の管理に負担がかかる一方です。また、紙ベースの資料の特性として、院内の複数の場所で一つの資料を同時に使うことができませんし、カルテに書かれた手書きの文字は書き間違いや読み間違いの可能性を排除しきれません。こうした課題を解決するため、近年ではカルテなどの診療情報を電子化し、病院内ネットワークを通じて活用する動きが活発になっています。

神戸医療センターが電子カルテ化のプロジェクトをスタートさせたのは、2004年3月です。その目的には、資料の管理を効率化し、検索性を高めること、情報共有を促進すること、ミスを減少させること、見読性を高めることなどに加え、さらなる情報活用を行うことが含まれていました。

神戸医療センターの産科医長で、医療情報管理室長の左右田裕生医師は、「近年では患者様に対する医療情報開示を行う機会が増えてきていますので、電子化によって情報開示を行いやすくすることも重要です。また、当院は須磨ニュータウンや西神ニュータウンにおける中核病院でもありますから、地域診療所との患者様情報共有、いわゆる病診連携を推進していかなければなりません。そのためにも、電子カルテが大いに役立ちます」と語っています。



 ■ソリューション
ネットワーク帯域や保守管理を考えWebベースのシステムを採用

 

電子カルテシステムの選定に際し、神戸医療センターでは、数々の要件を提示しました。その要求仕様の中で最大のポイントは、システムをクライアント/サーバー型(C/S型)ではなくWebベースとした点です。当時の電子カルテシステムはC/S型が主流でしたが、その中であえてWebベースのシステムを使うべきだと考えた理由を、左右田医師は次のように説明しています。

「C/S型ではサーバーとクライアントの間のセッションがなかなか切れず、回線のスループットが低下してしまいます。それはすなわち、作業の効率に大きな悪影響を及ぼすものです。また、保守管理の面でも、C/S型では各クライアントにソフト配布が必要ですが、Webベースであればクライアントの管理に手間がかかりません。病診連携も当初から計画に含まれており、この点からも、Webベースであることが必須でした」

こうした要求仕様に基づき、いくつかのベンダーが提案を行いました。そして入札を行い、さまざまな要素について点数をつけて評価した結果、APIUS Ecruを用いたシステムが採用に至ったのです。

「Web電子カルテシステムを提供しているベンダーは2〜3社しかなく、しかもどちらかというとベンチャー企業が多かったように思います。その中でアピウス社は、会社の成り立ちや株主構成、過去の実績などの点からみて信用できるベンダーでしたし、IBMのミドルウェアを基盤に使った高い信頼性や良好なパフォーマンスなどの点も、高く評価できましたね」と、左右田医師は選定理由を説明しています。

また、今回のシステム導入を行い、現在も保守サービスを担当している株式会社トリニティデザイン代表取締役の田中健一氏は、APIUS Ecruの基盤として用いられているIBM製品について、次のように語っています。

「私はWebSphereRソフトウェアを8年ほど前から使っていますが、ホスト系システムの置き換えに使われることも多いだけに堅牢な製品で、APIUS Ecruのベースとして非常に安定した基盤を提供しています。また、サーバーのバードウェアもIBM製品としましたが、これも2年度以降の保守対応が非常にしっかりしている点からも選びました」

選定後の2003年11月、キックオフが行われ、導入が開始されました。2004年3月にはオーダリングシステムを導入、予約や会計システムが稼働開始、同年6月には外来処方や注射のオーダリングと、段階的な導入が進められ、電子カルテは2005年4月から開始しています。そして2007年8月に地域連携システムをスタート、現在では当初の予定通り、ほぼ完全な電子カルテを実現しています。



 ■導入効果
集約されたデータを全職員が共有。病院内のどこからでも迅速な指示が可能に
田中 健一氏
株式会社トリニティデザイン
代表取締役
田中 健一氏
現在、神戸医療センターの電子カルテ/オーダリングシステムは、デスクトップおよびノートPC合わせて約400台のクライアントが、有線/無線LANによる病院内ネットワークを通じてサーバーへアクセスするという形となっています。実際にシステムを使うユーザーとしては、医師や看護師、薬剤師、放射線技師、事務職員など合計350人強ですが、彼らの業務の根幹を支えるシステムだけに、「いつでもどこでも使えるように」(左右田医師)という配慮から、このような配置になりました。

例えば病棟では、ナースワゴンにノートPCを乗せて病室に持ち込み、その場でシステムを利用できるようになっています。ちなみに、このナースワゴンは現場の看護師が設計し、東大阪の工場で作った特注品だそうです。また、外来診察室などではクライアントにペンタブレットを装備し、手書きの絵をカルテに書き込めるように工夫しています。「システムの都合に業務を合わせるのではなく、業務に合わせた形のシステム構築を心掛けました」と左右田医師は言います。そのため、導入を進める上では、現場の医師の声を特に重視しました。

「医師というのは、それぞれ自分なりのやり方を持っていて、一つの科の中でも医師によって異なるくらいです。そのコンセンサスを取るのが大変でしたね。しかし、現場の声を取り込んで、ときにはカスタマイズなども行いつつ段階的に導入を進めていったことで、スムーズに電子カルテへの移行ができたのだと思います」完全に電子カルテシステムへ移行したことで、データを集約できた点が、大きな成果となりました。

「詳細なデータに至るまで散らばることなく、全職員が共有できるようになり、しかもそれを病院内どこからでも見られるのです。そして、どの患者様に対しても、医師がどこにいても迅速な指示を出せるようになりました。同時に、医師が出したオーダも完全に記録されますので、記録のグレーゾーンがなくなります。また、カルテの見読性が向上した点も大きいですね。癖字の医師も多いのですが、誰でも間違いなくカルテを読めるようになりました。さらに、システム導入と同時に平易な日本語でのカルテ記入を行うようルールを作り込んでありますので、患者様への医療情報開示の際にも安心感が高まったと言えるでしょう」(左右田医師)

事務側では、患者様のカルテを保管し、管理する負担も軽減されました。診察時にカルテを移動する必要も少なくなり、患者様の待ち時間を減らすことができました。田中氏は、システム面での成功のポイントを次のように説明しています。

「電子カルテの文字データだけでなく、検査数値やX線画像なども集中管理を実現したことが大きいでしょうね。なお、マルチメディア系データは別のネットワークで管理し、スループット低下を防いでいます。また、ストレージはリース契約範囲を担保する契約で受けていますので、少なくとも契約期間中に不足が生じることのないよう構築いたしました。CPU、メモリーなどに関しては必要に応じて強化を行うなどしており、今のところ常に良好なレスポンスで稼動しています」

結果、神戸医療センターの電子カルテシステムは、他の病院からも頻繁に見学者が来るほどの成功となりました。また、財団法人日本医療機能評価機構が行う病院機能評価のバージョン5.0を、電子カルテシステム導入病院として初めて獲得しました。同時に、電子カルテに関するベンチマークとして、神戸医療センターでの実績がバージョン5.0に反映されました。



 ■将来の展望
癌化学療法における投薬チェックや監査、医療関連データの分析などを進めたい
神戸医療センターでは、紙のオーダが残っている分野が一つだけあります。癌の化学療法です。

「投与タイミング、スピード、インターバルなど、緻密なスケジュール管理が必要な上に、化学療法で使われる薬剤は副作用が強いものが多いことから、安全性を高めるために二重三重のチェックが必要です。ここが電子化しづらいのですね」と田中氏は言います。

そのため現在は、複写紙を用いた複数人によるチェックを行っています。しかし将来的には、このチェック機能を、人の目だけでなくシステム面でも行えるようにしたいと左右田医師は言います。

「もちろん人によるチェックも大切ですが、例えば桁の間違いなど、人の目では見落としやすい部分の監査をシステム上で行えるようにすれば、より安全性を高められるはずです。また、より安全な医療活動のためには、きちんと監査できる形でデータを残しておくことも大切ですから、この部分に対してもシステムの対応を期待しています」

そして、システム全体としては、蓄積されたデータをより一層活用していくことが、今後の課題になっているようです。過去のデータに基づく的確な治療を実施し、例えば医療の質や、独立行政法人化したことで求められるようになった採算性などを、継続的に高めていくことが重要です。

「システム的には、もっと診療データを活用しやすい形になれば、データを入れやすくなるのかなとも思います」と言う左右田医師に、電子カルテ導入成功のポイントをお聞きしました。

「プロジェクトを進める上で、現場の医師や看護師が参加することは必須といえるでしょう。彼らと一緒になって、業務プロセスとシステムを合わせていき、納得して使ってもらえるようにしていくことが大切だと思います」




お客様情報
お客様名:独立行政法人国立病院機構 神戸医療センター
所在地:〒654-0155兵庫県神戸市須磨区西落合3-1-1
URL:http://www.kobemc.go.jp/
概要:国立病院機構の医療センターとして、特に癌、循環器疾患、成育医療、骨・運動器疾患を中心とした専門医療施設として政策医療に力を入れています。また、病診連携や輪番制への参加、地域医療研修センターなどを通じて、地域医療に対しても積極的に貢献しています。大正7年に創立された後、数々の変遷を経て、現在では病床数304、外来患者様約700人の規模となりました。


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